付録1 Q&A


1.取引・証明について

Q1:取引・証明に該当するか否かの判断ポイントは何か。

A1:取引や証明に該当するか否かは、次のとおりです。
  取引:有償であると無償であるとを問わず、物又は役務の給付を目的とする業務上の行為をいいます。一連の行為の中に物象の状態の量があれば、その単位に法定計量単位を使用しなければなりません。

  証明:公に又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明することをいいます。したがって、当事者間以外の第三者へ表明する行為が計量法上の「証明」行為です。一定の事実が現に存在することなく、ある計画を実施することについて許諾を求める許認可申請などは、「証明」には該当しません。なお、取引・証明に該当しない具体的な例については、以下のとおりです。 
  
@製造工程における内部的な計量   
A日曜大工などにおける家庭内での計量   
B参考値の付与   
Cカタログ上の数値

Q 2:関係会社、協力会社などグループ会社とが一体となって業務を行う場合でも、取引・証明行為はあるのか。

A 2:関係会社、協力会社を問わず、他社又は他法人などとの、“有償であると無償であるとを問わず、物又は役務の給付を目的とする業務上の行為”は、すべて取引に該当し  ます。

Q 3:非SI単位で表示された文書情報は、猶予期間終了後も取引に使用することは可能か。

A 3:猶予期間内に非SI単位を使用した文書情報は、記載事項に変更がない限り、猶予期間後も継続して使用することができます。なお、猶予期間内に作成された非SI単位で表示された文書情報でも、猶予期間終了後に記載事項に変更や再発注を行う場合には、法定計量単位への変更をしなければなりません。

Q 4:非SI単位で交した契約書は、猶予期間内にSI単位に差し替える必要があるか。

A 4:SI単位に差し替える必要はありません。ただし、猶予期間終了後に契約変更を行う場合には、法定計量単位への変更が必要となります。

Q 5:猶予期間終了後に、取引・証明事項に非SI単位を併記することは認められるのか。

A 5:非法定計量単位の併記は、法定計量単位及び非法定計量単位を同等に扱うことになりますので、認められていません。しかしながら、非法定計量単位を参考値として付すことは可能です。参考値として付す場合には、参考値であることが分かるよう、括弧等を用いる必要があります。ただし、SI単記が望ましいことは言うまでもありません。 

Q 6:各省庁へ申請する書類は、SI単位、非SI単位のどちらでも使用可能か。

A 6:猶予期間終了後は、SI単位を使用することになります。猶予期間終了前後には、各省庁の窓口でよく確認をして、対処して下さい。

Q 7:公的文書類に添付する参考書類又は自主的添付については、非SI単位を使用したものでもよいか。

A 7:参考書類又は自主的添付書類については、証明そのものではありませんので、規制はありません。

Q 8:ユーザーヘ提出する製品に関する技術文書(例えば、分析結果)に記載する単位は、SI単位でなくてはならないのか。

A 8:取引や証明行為の一環で提出する技術文書類は、SI単位の使用が義務付けられます。 単なる情報のやり取りである場合には、その規制はありません。

Q 9:保安監査、使用前検査などにおいて、測定記録等文書類を閲覧のために求められることがある。提示するという行為は、証明とは異なるのではないか。

A 9:単に管理が十分に行われているかどうかを確認するために、いわば無作為にチェックする書類等は、ご指摘のように証明ではありません。

Q10:猶予期間終了後は、既存の図面をSI化しなければならないのか。

A10:取引に使用するための仕様が示されている既存の図面は、SI化が必要となります。

2.計量器について

Q11:従来単位目盛の計量器は、SI単位目盛の計量器に交換しなければならないのか。

A11:計量法上は従来単位目盛の計量器を使用しても問題ありません。しかしながら、従来単位の計量器を用いて証明等を行う場合では、法定計量単位に換算して行う必要がありますので、換算は十分注意して行って下さい。ただし、計量法は、法定計量単位以外の計量器の販売を規制していますので、猶予期間終了後は従来単位目盛の計量器が在庫品以外は入手できなくなりますので、注意が必要です。

Q12:現在、S1目盛に従来単位目盛を併記した二重目盛の計量器を使用しているが、猶予期間終了後も補給用として、二重目盛の計量器を購入できるのか。

A12:猶予期間終了後は、法定計量単位以外の単位を付した計量器の販売を規制していますので、このような二重目盛の計量器は在庫品を除き販売できません。

Q13:計器類は、買い換える必要があるのか。

A13:計量法では非法定計量単位を付した計量器の販売を規制しています。したがって、非法定計量単位を付した計量器を買い換える必要はありません。

Q14:社内で使用している重量キログラム毎平方センチメートル(kgf/cm2)の目盛をもつブルドン管式圧力計を使用単位の猶予期間終了後修理して、kgf/cm2の目盛のままで使用  してもよいか。

A14:従来の計量器を修理することは計量法上問題ありませんが、修理事業者が行う業務には証明行為が伴う場合があります。すなわち、修理の時点で非SI単位をSI単位のものに付け替えなけれぱならないという義務はありませんが、発行する修理証明書等取引・証明に該当する書面上では、SI単位に換算しなければなりません。なお、SI化の推進という観点からは、修理の際にSI単位の目盛に替えることが望ましいことは言うまでもありません。

Q15:SI単位の計量器を非SI単位のままで修理を行うことは可能か。

A15:猶予期間終了後も猶予期間終了前に製造された計量器であれば非SI単位のままで修理・検定はできます。しかしながら、修理の際の検査成績書は法定計量単位で発行されます。

Q16:kgf/cm2の圧力計について、kPa表示の記録紙を使用してもよいか。

A16:SI化によって、圧力の本質が変わるわけではありません。内部で使用するものは、kPa表示の記録紙を使用しても単位の換算の対応が付いていれば問題はありません。

Q17:現在、非SI単位とSI単位との二重目盛の計量器を使用しているが、猶予期間終了後に補給用に購入できるのか。

A17:猶予期限後は、猶予期間前に製造された在庫品を除き、法定計量単位以外の目盛を付した計量器を販売することはできません。したがいまして、二重目盛の計量器も基本的に販売されません。なお、既設の二重目盛の計量器は使用できます。

Q18:ガソリンをポリタンク一杯いくらで販売することは計量法上違反になるか。

A18:ポリタンクはおおよその体積は分かりますが、計量器ではありません。取引・証明における計量には、計量器でないものは使用してはいけませんので、ポリタンクでガソリンを計量して販売することはできません。

3.罰則について

Q19:猶予期間終了後に削除単位を用いて取引・証明を行った場合、罰則があるのか。

A19:このような行為に対しては、計量法第8条第1項に違反するため、50万円以下の罰金に処されることになります。

Q20:猶予期間終了後に削除単位の目盛を付した計量器を製造し、それを販売した場合、どのような罰則があるのか。

A20:このような行為に対しては、計量法第9条第1項に違反するため、50万円以下の罰金に処されることになります。

4.用語について

Q21:重量という用語は、今後とも使用することができるか。

A21:重力単位系では重量という用語は、質量と荷重(力)の意味に使用されてきました。単位記号も、kg、kgw又はkg重を使用してきました。計量法では、用語の使用を明確には規定していませんが、SI化を機会に単位記号、接頭語などと同様に、用語も正しく使用することをお奨めいたします。重量を質量の概念で使用する場合にはその単位に″kg″を、力の概念で使用する場合にはその単位に″N″を使用します。

Q22:重量のように用語が変わるものがほかにあるのか。単位同様に、猶予期限後は用語が問題となるか。

A22:回転速度は、これまでに回転数や回転速さという用語が一般的に使用されてきました。  しかし、これらは時間の概念が入ったものではありませんので、SI化を機会に修正使用すべきです。対応英語もnumber of rotation からrotational frequencyに変えています。

Q23:負圧という用語は、絶対圧では使用できるのか。

A23:大気圧基準の重力単位系では、大気圧よりも低い圧力の場合には、負圧という用語を使用しましたが、絶対圧では真空が基準ですから、負圧は存在しません。負圧260ァHgは、真空ωPa)から500 mmHgのところを67 kPaのように表します。

Q24:これまでモータやエンジンの回転数という用語を使用したが、回転速度としなければ  ならないのか。

A24:従来、回転数、回転速度、回転速さなどが使用されてきましたが。新計量法では回転速度という用語を使用しています。回転数ですと、時間の概念が入っていませんので、単位時間当りの回転数を回転速度としています。なお、新計量法では用語の厳密な使用規定はありませんが、SI化の趣旨に沿って、用語もなるべく正しく使用すべきです。

5.単位について

Q25:温度の単位の使い分けはどうなっていますか。

A25:SIの基本量の一つである熱力学温度の単位はケルビン(K)ですが、計量法では温度としてケルビンのほかにセルシウス度(℃又は度)が法定計量単位として認められています。セルシウス度(℃又は度)は、生活に密接な単位で、ケルビンは熱力学温度です。すべての温度にKを使用するのではなく、この区別で温度の単位を使用するのが一般的です。

Q26:CGS単位系の粘度(P)及び動粘度(St)は、使用可能か。

A26:計量法では、SI単位のある量の非SI単位として、粘度(P)及び動粘度(St)が使用できます。これらの単位に基づく数値は、潤滑油の粘度及び動粘度に10W‐30のような表示をしますが、当分の間、流体の粘度及び動粘度に使用できます。

Q27:SI単位では、熱量の単位はジュール(J)であるが、ガス機器の消費量の単位がワット(W)になった経緯は何か。また、ガス消費流量を算出するにはどうすればよいのか。

A27:国内の関連業界(都市ガス、LPG、石油など)がSI化を機に、家電製品で使用するワット(W)を表示することで足並みを揃えようとの動きがあり、また、国際的にも主要国がWを指向していたことから、都市ガスの機器もキロワット(kW)表示することが国内でも採用されました(例えば、ガス用品の検定等に関する省令)。次に、ガス消費流量(m3/h)を算出する場合、ガスの発熱量が10 MJ/m3であることから、kwをMJ/hに直す必要があります。1kw=1 kJ/s =3600 kユ/h=3.6 MJ/hですから例えば、30 kwの湯沸器は30×3.6 MJ/h、すなわち、108 MJ/hとなります。これをガス  発熱量で除せば、m3/hとしてガス消費流量が算出できます。例えば、46 MJ/m3のガス  の場合には、108/46≒2.3 m3/hとなります。ガスの発熱量が定まっている場合には最初から換算係数を乗ずることで算出できます。 上記の例では、換算係数が3.5/46≒0.078ですから、30×0.078≒2.3 m3/hとなります。
 

6.単位記号について

Q28:圧力単位表示″Pa″で、絶対圧とゲージ圧との表示方法はあるのか。

A28:″Pa″は、真空時に0 Paですから、大気圧基準のゲージ圧をPaに変換して表示しますとその区別が付かない場合があります。 IS0では、ゲージ圧に″Pe″又は″Gauge″を表示することを推奨しています。

Q29:容器やタンクに″KG″と表示している場合がある。これは正しいか。

A29:計量法では、標準となる単位記号を示していますので、法を違反しているわけではありませんが、標準として定められているものは″kg″です。大文字″K″は、温度ケルビン  の単位記号として、また大文字″G″は109を表す接頭語の記号として定められていますので誤解を生じる可能性もあります。

Q30:kJ/kgという表示は、SI接頭語が二つ使用されているが正しいか。

A30:SI接頭語は一つだけ使用するようにIS0やJISに規定されています。 ″kg″はSI基本単位でもあり、これは一つの単位として数える例外中の例外です。

Q31: 3.5インチフロツピーディスクというのは、ヤードポンド系単位であるが、今だに使用されている。計量法違反ではないか。

A31: 3.5型フロツピーディスクと表示されて販売されていますので、計量法違反ではありません。テレビ画面のサイズも29インチではなく29型と表示しています。消費者がインチで言うことには、計量法は規制の対象にはなりません。しかし、SI化への切り換えが望まれます。

Q32:気体(ガス)の標準状態は、どのように表すのか。

A32:単位記号にはその意味を表すために、添字を使用しないようにすべきです、標準状態又はnorma1は、量記号か単位記号の後に括弧付けで表すのが一般的です。

Q33:標準状態(NTP)の気体(ガス)の表示をする場合、5 Nm3(5ノルマルm3の意)の表示は許されるか。5 m3(N.T.P)と表示すべきか。

A33:″Nm3″の″N″は、力の単位のニュートンと間違えることが考えられますので、単位の後に5 m3(Norma1)又は5 m3(標準状態)のように表示するか、量記号に添字として付ける方法、VNorma1=5 m3又はVN=5 m3のように表示します。

7.換算について

Q34:猶予期間終了後は、既設の非SI単位目盛の計量器の数値をSI単位に換算して取引・証明に使用してもよいか。

A34:法定計量単位に換算して取引・証明に用いることは計量法上許されています。しかしながら、測定する際に誤読する恐れがありますので、換算表を設置するなどの措置を行うことをお奨めします。

8.その他

Q35:小学校、中学校、高等学校など、学校教育でのSI単位についての対応はどのようになっているのか。

A35:小学校全学年は平成4年度から、中学校全学年は平成5年度から、高等学校1学年は平成6年度から、高等学校2学年は平成7年度から、そして高等学校3学年は平成8年度からSIを教科書採用して教育が行われています。

Q36:製品を国内商社へ販売し、その商社が海外へそのまま輸出する場合、国内商社とは国内取引となるが、製品への単位記載は相手国の計量単位としてよいか。

A36:計量法は、国内法ですから、国内商社へ販売する場合には計量法の適用を受けますが仕向け地が明確な場合には、その国の計量単位表示ができます。

Q37:現在、コンピューターシステムは、従来単位をベースにしており、対外文章出力時にSI単位に変換している。猶予期間終了後に何か問題があるか。

A37:情報伝達、流通等において使用する単位は、SI化の対象になります。情報の入力時からSI化すればよいのですが、結果的には、出力時にSI化されていればよいことになります。